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地域に育てられて、新たな地域人生が始まった
教えて!地域を選んだ理由

地域に育てられて、新たな地域人生が始まった

地区サポーターへの登録をきっかけに、世田谷で様々な地域活動を行っている三浦規雅さんにお話をお聞きしました。

掲載日 2025年2月28日

地区サポーター
三浦規雅さん
三浦規雅さん

2017年に地域活動ボランティア「地区サポーター」に登録した三浦規雅さん。地域と関わりがなかったところから、次々と展開していった地域活動について、お話しいただきました。

地区サポーターの活動を始めたきっかけを教えてください。

きっかけは東日本大震災

きっかけになったのは、2011年の東日本大震災でした。

私は福島県の生まれなんです。当時はもう世田谷に住んでいましたが、色々と報道が出ますよね。
2012年になり、1年経ってもほとんど手が入っていない、帰れそうにないと知って、地元ということもあり、みんなはどんな気持ちでいるんだろうと思っていました。

その頃、福島県双葉町の人たちが、埼玉県加須(かぞ)市の高校に避難していました。双葉町の住民が集まる場として「Café珠寿(じゅじゅ)」というものを開催していると知り、お願いして、ボランティアの1人として参加することになりました。

ずっと仕事一筋だったので、これが初めてのボランティア活動でした。

関わって気づいた、まちのコミュニティの力

カフェのボランティアを続けて何年も経つうちに「双葉の人たち元気だな」と思ったんです。
普通は、落ち込んでかわいそう、みたいなイメージがありますよね。でも全然違う。みんな頑張っていたし、楽しく話してる。

なんでかなと思ったら、結局、まちのコミュニティなんですよね。おたがいの家まで出入りするようなつながりが、避難してからもずっと続いていて、それがすごい力だなと感じました。

だから世田谷にもそのようなコミュニティ活動があるなら関わってみたいと思ったんです。

カフェのボランティアを通じて社協のことは知っていたので、世田谷の社協の事務所に行き、なにか活動はないかと相談しました。そこで地区サポーターを知り、登録することにしました。

地区サポーターとしての活動内容を教えてください。

男性の居場所づくりの世話人に

地域には色々な集まりがありますが、参加するのは女性が多いですよね。そこで、男性の居場所をつくろうと企画されたのが「ダンディ・イングリッシュ」でした。
地域の男性たちが集まり、外交官経験のある方が参加して、みんなで英語を学ぼうという企画でした。

地区サポーターに登録した頃、ちょうどこの企画が立ち上がっていて、準備段階から参加することになりました。

声がかかったから行ってみようという感じだったのですが、参加してみると「運営のまとめ役が必要ですね」という話になり、社協の職員さんが私の方を見て、にこっと笑うんですよ。
なるほどそういうことかと手を挙げて、ダンディ・イングリッシュの世話人をすることになりました。

ダンディ・イングリッシュの世話人を務める三浦さん

活動が始まってからは、メンバーが定期的に集まって、英語で情報交換などをしています。英語は外交官経験のある方にお任せして、私は運営の部分を担当しています。

英語なんてやったことありませんでしたが、こんな言い方面白いなと思ったり、色々な人生経験をした人たちの話を聞いているだけでも楽しいんです。
イングリッシュだからもちろん英語を使いますが、半分以上日本語も使ったりして(笑)。
メンバーも、大人のサロン的にこの雰囲気で行こうという感じで続けています。

英語と日本語を織り交ぜつつ談笑するメンバーのみなさん

お手伝いのつもりが、サロン活動を引き継ぐことに

次に、高齢者の方の集まり「楽々くらぶ」(ふれあい・いきいきサロン)のスタッフが足りないからと声がかかりました。
私は加須市でカフェのボランティア経験がありますので、お茶を出したりお話をするのは得意ですよと、お手伝いすることにしました。

ところが実際に行ってみたら、スタッフの方が続けられなくなって活動を辞める予定だというんです。
でも参加者からは続けてほしいと声があがっていて…。

最初はお手伝いのつもりでしたが、参加者の顔を見て、続けたいという声を聞くと、やっぱり続けないとダメですよね。
他に手伝いに入っていた2人と一緒に、活動を引き継ぐことにしました。

実際に引き継いで活動が始まると、参加者のみなさんから「なくなるところを続けてくれてありがとう」と言われて、それがまた嬉しいんですよね。「今日も楽しかった」って帰ってもらったら、もうウキウキです。
人のためなんかじゃない。自分の活力です。

80代90代の方からは、お兄ちゃんなんて言われて、気持ちが若くなって元気をもらっています。

この日の楽々くらぶは、みなさんでマンドリン演奏を楽しみました

今は地区サポーターの活動だけでなく、民生委員もされているとお聞きしました。

最初はしかたなく、でもやってみるといい勉強に

ダンディ・イングリッシュのメンバーに民生委員をしていた方がいて、私に声がかかりました。

当時はダンディ・イングリッシュと楽々くらぶが始まったばかりで、落ち着いてもいないからと断ったのですが、どこも成り手がいないんですよね。一生懸命探していたと言われて、最初はしかたなく引き受けました。

でも実際にやってみると、もちろん大変さはありますが、本当に勉強になります。困った方は真剣に相談してくれるし、生活保護や認知症など全然知識のなかったことにも直接接することができる。
始めるときは嫌だ嫌だと思っていたけれど、いい勉強になっています。

地区サポーターの活動を始めてから、どのような変化がありましたか。

全部地域に育てられている

世田谷に来て20年になりますが、以前は地域との関わりがまったくなく、全然足場がなかったんです。それが今では、ちょっと道を歩けば「お久しぶり」なんて声を掛け合う人が大勢います。

福祉に関する意識も変わりました。やっぱり本当に大事なんだと、関わってみて初めて強く感じました。今までは会社はどうあるべきかなんて本を読んでいたのが、健康や認知症に興味を持って、テレビや本も見るものが変わり、視野が広がりました。

もし何の活動もしていなかったら、毎日が日曜日で、ずっと家にいるような生活だったかもしれません。だから外に出るチャンスをもらったと思っています。
充実という言葉がいいのかわかりませんが、結果として楽しくやれています。

それも全部、地域に育てられている気がします。やりながら、そうかそうなんだと学んだりして。
私にとっては、新たな地域人生が始まったという感じです。

楽々くらぶの参加者の方に声をかける三浦さん

これから地域活動に関わりたいという方へメッセージをお願いします。

自分のためにやっていたら、楽しくなっていく

言葉だけだと伝わらないかもしれないけれど、楽しいですよ。自分の喜びにもなるし、ためにもなる。
人のため、福祉のためと考えると重くなってしまいますが、自分のためと考えてやっていると、そこから色々気づいて、楽しくなっていきます。
自分に合った活動、好きな活動で楽しんでいきましょう。

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